創価学会
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『創価学会』(新潮新書 島田裕巳著)という本がある。創価学会については仕事柄、だいたいのことは知っていたが、読んでみると改めて教えられることが多かった。
以下、この本の要点を示す。
1.創価学会の歴史
ということになる。
2.急成長した理由 どうしてこのように急速に勢力を伸ばすことができたのか。一般に新興宗教は教祖の神憑り・宗教体験・病気治しなどで信者を増やしていく。しかし、創価学会は違った。高度経済成長で農村から都会に出てきた都市下層階級の人々を中心に広まったのである。
都会には出てきたが、学歴が低く大企業にも就職できない。従って労働組合にも入れない。そういう不安定な生活を送っていた人々の間に、「労働組合に代わる受け皿」「現世利益を実現するための相互扶助ネットワーク」として普及したのだ。本来は共産党が救うべき都市下層の人々を、共産党に代わって創価学会が救いの手をさしのべたというわけだ。
3.政界への進出 1964年には公明党を結成し、政界への進出も果たした。その後、1970年に言論弾圧事件を起こし政教分離の原則へ路線変更したものの、選挙になれば(全国で900万票と言われる)創価学会票が公明党を後押しする。 結成当初、日蓮正宗の国教化を掲げていた公明党も、創価学会が1991年に日蓮正宗と対立・破門されるに及んで、ますます独自のカラーを強めている。『公明新聞』『潮』『第三文明』などの定期刊行物を発行し、東洋哲学研究所という研究機関も設立した。また、労働組合を母体にした労音に対抗して民音を設立し、さらには学校経営にも乗り出した。しかし、
著者は言う。「都市下層の宗教として勢力を拡大した創価学会は、結局のところ、その枠を越えることができなかったのではないか」 教育現場で政治について語るときは慎重でなければならない。とくに特定の立場のみを強調することは避けなければならない。以前は共産党の立場からものを見る教員が少なくなかった。近年では、右翼的な教員もちらほら出てきた。 純粋に中立的などということは、もとよりあり得ない。私は、全政党を批判的に検証し、是々非々で臨むことにしている。本書は客観的な資料に基づいて、書きにくいことも包み隠さず書いた好著といえる。
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